わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

まだ人を殺していません/小林 由香【レビュー】

★★★★

息が詰まるような読書時間だった。
タイトルの「まだ」が引っ掛かり殺人の可能性を予感させる。

主人公は事故で娘を失った過去を持つ翔子。
亡き姉の息子で、猟奇殺人を実行し逮捕された父を持つ良世を預かり育てる所から物語は始まる。

自分の子を育てるだけでも大変なのに緘黙症の症状を持つ子を育てるなんて並大抵の覚悟では挑めない。

それにプラスして本作では加害者家族の葛藤、SNSに置ける誹謗中傷、人間の多面性などいくつものテーマを孕んでいる。

良世の悲鳴が文中から迸る。
人を心から信じる事は難しい。

それでも良世の今と未来を信じたい。




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