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ナオミとカナコ/奥田 英朗【レビュー】

★★★★★

奥田 英朗さんの長編小説です。

分厚い本でしたが、テンポが良く続きが気になりページを捲るたびにドキドキ・ハラハラし久々に興奮した1冊です。

ナオミ(小田直美)とカナコ(服部加奈子)は大学時代の同級生

新潟生まれのナオミと石川生まれのカナコは同じ北陸からの上京組と言う事で親しくなりそれ以来の親友です。

ナオミは新宿にある百貨店の外商部勤務のOL、カナコは専業主婦

この二人が共謀してDV(ドメスティックバイオレンス)のカナコの夫を殺害する事から物語は進んで行きます。

脇を固める中国人、李朱美(り あけみ)や夫に良く似た林竜輝、夫の妹、陽子等全ての登場人物のキャラクター設定がしっかりとしていて、とてもリアリティーがあり絶えず脳内映像でそれぞれの人物が動いていました。

風景描写も丁寧に描かれていて中国人がひしめく街の様子、カラオケルーム、カナコの暮らす部屋、カーチェイス、空港など目に浮かぶ様でした。

二人が立てた計画は当初二人には完璧だった様に思えたけれども蓋を開けると盲点がたくさんあり、段々追い詰められて行きます。

その辺りから殺人を犯した二人に対して、上手く逃げてかわして欲しいと共犯者めいた感情さえ生まれて来ました。

これはフィクションならではの面白さだと思います。

最後の一ページ、最後の一行まで二人の結末を引っ張る展開は読み応え十分です。

読後感は緊迫状態から 解き放たれた解放感と冷めやらぬ興奮でしばらく放心状態でした。

とても印象に残った1冊になりました。




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