★★★
「はねつき」「ゆすらうめ」「ひかり」「ままごと」「かざあな」
5話収録の連作短編集。
小さな庭が付いた築40年の古い平屋が舞台。
共通するテーマは『逃』
家族を捨てて駆け落ちした不倫カップル、新興宗教の元教祖だった老婦人、親の決めた結婚から逃げてきた女とその妹など、事情は様々だが、皆、何かしらから逃げ、吸い寄せられるようにこの家に辿り着く。
彩瀬まるさんの不穏で湿り気のある文体の中に、静かな狂気を感じヒンヤリとする。
『かざあな』の主人公が見た蛇は自らの心が生み出した邪悪な象徴か。
『さいはての家』は再生の家でもある。

幼少期から本が大好きな四つ葉と申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。