★★★
「亮輔と賢剛」「辰司と智士」息子達と二人の父親、それぞれの視点で、現在と過去が交互に語られていく構成。
人間の仄暗い感情、憎悪、良心とのせめぎ合い、様々な思いが行間から溢れ、苦しい読書時間だった。
全ての発端は、バブル景気時の強引な地上げ。
辰司と智士の義憤も、やり場のない憎しみも痛い程伝わるが、彼らが犯してしまった行動は、短絡的で浅はかだ。
計画通りに行かなかった後の行動も、数十年に及ぶ後悔すらも、亮輔の言葉を借りれば馬鹿だとしか思えない。
望んだ復讐も叶わず負の連鎖も断ち切れず、やり切れない。
全ては因果応報だ。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」