わたしは栞を挟まない|sayuriの読書ブログ

某/川上 弘美【レビュー】

★★

「記憶をもたない不明な存在」が、丹羽ハルカ→野田春眠→山中文夫→マリ→ラモーナ→片山冬樹→ひかりと次々と別人に変遷していく物語。

その変遷には定義がなく性別・年齢・国籍もバラバラで変幻自在。

SF的な雰囲気だが、その人物に擬態している時は普通に高校へ通ったり教職員として働いたり、キャバクラ嬢になったりとリアルな生活を送る。

なんとも不思議な物語で、共感力、自己愛、死と生、合間に現れるワードに哲学的なものを感じた。

サラサラと流れるような文章は読みやすいけれど実態を感じないままフワリとした読後感。

好みは分かれそう。




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