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人間に向いてない/黒澤 いづみ【レビュー】

★★★★★

メフィスト賞受賞作品

タイトルと表紙からイメージしていたホラー作品とは異なり
現代の親子関係に焦点を当てた感動作品でした。

ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」
発症するのは十代から二十代の若者、引き籠り、ニートなどの社会的に弱い立場の人達です。

主人公、美晴の一人息子である22歳の優一がこの病気を発症し、虫となってしまう事から物語は展開して行きます。

フィクション中のフィクションでありながら、この親子の顛末が気になり一気読みでした。
親子と言えども、互いの心の奥までは解りえない。
完璧な母もいなければ、当然完璧な子供もいません。

「虫」になってしまった事で初めて解り合えた互いの想いに感動すら覚えてしまいます。
因果応報を感じるラストも非常に小気味良く、満足出来る作品です。




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