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エンディングドレス/蛭田 亜紗子【レビュー】

★★★

蛭田 亜紗子さん 初読みです。

主人公は夫に先立たれてしまった32歳の麻緒(あさお)
自らも死ぬ準備をするうち、刺繍洋品店で見つけたポスターををきっかけにエンディングドレス(死に装束)を作る洋裁教室に通い始めます。

講師の小針ゆふ子、3人の陽気なおばあさんに囲まれ、次々と課題をこなして行く内に麻緒の気持ちにも徐々に変化が見られて行きます。

自殺を考える主人公、学生時代の同級生やおばあさんの死
文中に絶えず流れる「死」の空気
けれどそれらは陰鬱な感じではなく、淡々と静謐に描かれている。

喪失、孤独を感じていた主人公が服を作ると言う行為と周りの人達の温かさで再生して行く姿に光を感じ、読後感は良い。

絶望が希望に変わる可能性を感じた作品。




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