★★★★
窪美澄さんの短編集
「父を山に棄てにいく」「インフルエンザの左岸から」「猫降る曇天」
「すみなれたからだで」「バイタルサイン」「銀紙色のアンタレス」
「朧月夜のスーヴェニア」「猫と春 」の8編が収録されています。
毛色が異なる8編の構成ですが、全編に共通して流れる気怠い雰囲気が妙に心地よく堪能しました。
16歳の男女のすれ違う繊細な恋心にドキドキし
おばあちゃんの家や海、龍宮窟の風景が絶えず脳内映像で浮かんでいた「銀紙色のアンタレス」
16歳の少女と46歳の義父とのインモラルな関係をハードに描いた「バイタルサイン」
同居する彼女と猫の様子が思わず目に浮かんで来る読後感の良い「猫と春 」
家族に認知症と思われている老婆の戦時中の恋愛を描いた「朧月夜のスーヴェニア」は人間の生と性が味わい深く心に残ります。
バラエティーに富んだ作品集で短編ながらも読みごたえのある1冊でした。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。