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綴られる愛人/井上 荒野【レビュー】

★★★★

井上 荒野さんの長編小説

東京住まいの35歳の作家、天谷柚(あまがいゆう)が主人公です。
夫に内緒で「綴り人の会」を通して、富山に住む21歳の大学生、
森航大(もりこうた)と知り合い文通を始めます。

お互いに本名も年齢も職業も偽ってやりとりして行きます。
柚は凜子(りんこ)と名乗り28歳の専業主婦

航大はクモオと言うペンネームで35歳のエリートサラリーマンを装います。

これだけ身分を偽りながらの文通ですが、互いの満たされない現実や
乾きの様な物から逃避しようとでもする様に徐々に言葉に熱が高まって行きます。

モラハラ夫、真哉(しんや)の存在をうとましく思う思う妻、凜子がクモオに託した願いとは…

今時、珍しい文通と言うツールで、それぞれの手紙にお互いが疑心暗鬼になりながらも
徐々にのめり込んで行く過程にドキドキさせられました。

ラストの展開が少しあっけない印象を持ちましたが、新鮮な恋愛サスペンスとして楽しめた1冊でした。




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