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猛獣ども/井上 荒野【レビュー】

★★★

終始、不穏な空気に満ちている。

閑静な別荘地で、ふたりの男女が密会中に熊に襲われ殺された。
衝撃的な始まりだが、登場人物達は皆、他人事の様に淡々としている。

管理人の男女と六組の夫婦をランダムに描きながら、愛とは何かを問い掛けられる。

表面上、上手く取り繕いながらも、心の中では底知れぬ狂気を抱えている人達。
人でありながら、猛獣の如き猛々しい其々の思いに打ちのめされる。

なにか特別な事が起きるわけではない、だがこの黒々とした薄気味悪さは井上作品ならでは。

混沌とした世の中で刹那的に生きる彼等を通して愛の本質を問われる。




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