わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

Row&Row/村山 由佳【レビュー】

★★★★★

男と女のあいだには深くて暗い河がある。
野坂昭如氏の「黒の舟唄」から引用したタイトル『Row&Row』がドンピシャ。

凪のような日々を送っていた夫婦が、一人の女性の出現で深く暗い河の中に呑みこまれていく。

したたかな女にいとも簡単に心を許し、妻の目の届く距離で不貞行為を繰り返す夫。
当初、好印象だった夫に対し嫌悪感が加速していく。

妻に向けた薄っぺらい言葉に(馬鹿なのか)と何度も心の中で呟いた。
自分の想いが妻の想いとシンクロし、妻の言葉で代弁される瞬間のカタルシスが堪らない。

秀逸な心理描写で描かれた圧巻の夫婦小説。




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