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贖い/五十嵐 貴久【レビュー】

★★★★

最近あまり見かけなくなった1ページ上下段構成の469ページもある長編です。

贖い(あがない)とは、賠償の古語で、一般には罪を償う、あるものを代償にして手に入れると言う意味があります。
きっと重いテーマなんだろうと思い読み始めました。

東京・埼玉・愛知、この3箇所で起きた殺人事件
この3つの事件はそれぞれ手口も違えば互いの関連性もありません。
これらの事件を追う捜査員の姿が丁寧な人物描写で描かれています。

犯人は途中から読者にも見えて来ますがその動機には過去の辛く悲しい事実が隠されていて切なくなりました。

手に掛けられた何の罪もない3人の子供達を思うとこの復讐は絶対あってはならないものだと思うと同時に
犯人の20年にも及ぶ心の葛藤や決意を想像すると胸が締め付けられ堪らなくなります。

これが「可愛いベイビー」を書かれた五十嵐さんと同一人物だと思うと幅の広い作家さんだと改めて感じました。
重いテーマですが読み応えありの1冊です。




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