わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

名もなき子/水野 梓【レビュー】

★★★★

名前は親から子供への最初の贈り物。
その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。

だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。

一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。
生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。

劣悪な環境、理不尽な人生。
親を、社会を恨みたくなる気持ちは理解出来ても、それが殺人を肯定する理由にはならない。

物語ではダウン症児や路上生活者など様々な人の人生が描かれる。
赤子も高齢者もこの世に生を受けた者の命は等しく尊い。

命の意味を問われる読後。




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