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ひとりでカラカサさしてゆく/江國 香織【レビュー】

★★

不思議な作品だ。

大晦日の夜、東京駅近くのホテルのロビーで待ち合わせた八十代の男女三人。
1950年代の終わりに出逢い、出版社で共に働いた彼らが猟銃自殺により命を絶つ。

突然の出来事に涙が止まらない者、自殺の原因が知りたくて遺族間同士連絡を取り合う者。
家族であっても色々だ。

それと並行して描かれるのは其々の家族の日常。
次々と現れる登場人物と何の脈絡もなく移り変わる場面に翻弄される。

ミステリでもなければ家族小説とも違う。

死を感じる事で浮かび上がって来る「生」。
今はもう逢えなくなった人達に想いを馳せ切なさと共に読了。




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