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パラソルでパラシュート/一穂 ミチ【レビュー】

★★★★

「聴こえない歌」「騒がしい家」「新しい夏」「美しい雨」
4章で構成された長編小説。

舞台は大阪。
日々を持て余す様に生活していた一流企業の受付嬢・29歳の美雨。
『安全ピン』の名で活動する売れないお笑い芸人・矢沢亨と相方の弓彦。

彼らの愛おしくも切ない物語が瑞々しい筆致で描かれる。

冒頭の運命的な出会いから、ドラマティックな展開を予想するも、良い意味で裏切られる。

さり気無く相手を気遣い、笑いに紛れ込ませる様に本心を言う。
友達でも恋人でもなく人と人としての繋がりが心地良い。

波乱万丈ではないからこそ生の実感を感じる一冊。




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