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水たまりで息をする/高瀬 隼子【レビュー】

★★★

『夫が風呂に入っていない』
物語冒頭の衝撃に気持ちがざわつく。

仕事は行く、ビールは飲む、パソコンで動画を観て楽しむ。
夫婦の日常は何一つ変わらないのに水道水のみ拒否反応を示す夫。

日毎、異臭が強くなり、ついには仕事を退職し川を求め妻の郷里へ移住する。

少しずつ壊れて行く夫と、その夫に対して疑問を持ちながらもある種の寛容さを見せる妻。

妻が子供時代に実家で飼っていた川魚「台風ちゃん」のその後と夫の未来が重なり落ち着かない。

夫の行動にリアルな生き辛さと同時に薄気味悪さも感じる。
静謐に描かれているがこの恐怖はホラーの様。




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