★★★★
「サクラオト」「その日の赤」「Under the rose」「悪いケーキ」「春を摑む」「第六感」
6話収録の連作短編集。
彩坂作品に漂う不穏さは今回も健在。
本作では更に緊張感もプラスされ趣向を凝らしたミステリーとなっている。
春夏秋冬の各季節に聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚の五感を掛け合わせた構成は新鮮。
ライトノベル風な装丁で軽いミステリーをイメージしていると良い意味で裏切られ予想していた結末は見事に覆される。
春の日中に見る満開の桜は美しいけれど夜桜はどこか禍々しさを感じる。
その桜の様に人の心の多面性に慄く読後。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。