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ジャッジメント/小林 由香【レビュー】

★★★★

第33回小説推理新人賞を受賞された小林 由香さんの連作短編集です。

「サイレン」 「ボーダー」 「アンカー」 「フェイク」 「ジャッジメノト」
の5編が収録されています。

内容紹介にあった「復讐法」に興味を持ち図書館で予約しましたが
やはり関心を持つ方が多いのか順番待ちで数ヶ月後ようやく貸出する事が出来ました。

テーマは今までになかった内容で非常に新鮮でした。
そして重いテーマではある物の、復讐そのものより人間ドラマが濃く描かれているので読みやすさがありました。

「復讐」を見届ける役割の「応報監察官」鳥谷文乃(とりたに あやの)の目線で、それぞれの復讐が描かれて行きます。

大切な人を殺された時、自分は旧来の法に基づく判決か
あるいは復讐法を選択するかどちらを選ぶだろうかと考えながら読み進めて行きました。
但し復讐法を選んだ場合は、選択した物が自らの手で刑を執行しなければいけません。
復讐法を選んでもその後、苦しい日々が続く事が予測出来、結局答えが出せないまま読了しました。

もし復讐法を選ばず、加害者が牢から出て又同じ事を繰り返してしまえば
復讐法を選ばなかった人間としての責任までもが問われる様な気がして
難しい問題だと考えさせられました。
心から反省している加害者、罪を罪とも思わぬ加害者を見ぬく力も必要な気がします。

後味の良い作品ではないけれど、5編共、夢中になって読みました。
次作も楽しみです。




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