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猿の見る夢/桐野 夏生【レビュー】

★★★★

桐野 夏生さんの長編小説

「第一章 二兎追う者」 「第二章 狸の皮算用」
「第三章 蛙の行列」  「第四章 猫に鰹節」
「第五章 犬の遠吠え」 「第六章 猿の水練」 「第七章 逃した魚」
以上の七章で構成された451ページの長編作品です。

事前に何の予備知識を得ずに読み始めたので途中で(いつもの桐野さんらしからぬ作品だな)と感じました。

殺人事件もなければダークな裏社会が舞台でもありません。
派手な出来事が起こるわけでもなく、そして今回は男性が主人公

この物語の主人公 女性衣料の製造小売業「OLIVE」の財務担当取締役 薄井正明(うすい まさあき)59歳に至っては、女性の私から見たら、全く魅力を感じない男性です。

妻子もあり、社会的ステータスもありながら愛人を作り、会長秘書の朝川にまで手を出そうとする、今で言うゲス極まりない男です。
それだけならともかく、長年認知症を患った実の母の遺産を実の妹夫婦と争って…
と全くもって良い所がない主人公

そこに怪しい夢占いをする長峰まで登場してとんでもない展開に発展して行きます。

薄井、その妻や息子、愛人である美優樹、朝川、実の妹夫婦、長峰と一癖も二癖もありそうな登場人物が大集合で1人として共感出来る人物がいないのに関わらず、あまりの人間くささが面白くもあり最後まで一気に読めました。

庭への投げ捨て事件や長峰の小体など中ぶらりんな感じではありますが、どこかしこにこれらに近い人物は存在するだろうなとリアリティーもある作品でした。

日光東照宮には4匹目の猿がいたと云われていた話も初耳で読了後思わず検索して調べましたが興味深かったです。




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