わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

八月の母/早見 和真【レビュー】

★★★★

「逃げろ」
何度も心の中で叫びながら読み進めた。

母から娘、そしてその子へと三代に連なる女性達の壮絶な負の連鎖が描かれる。

『母親』『母性』、その言葉に絡め取られ、良い母であらねばと藻掻けば藻掻く程、蟻地獄に落ちていく。
透明で、けれど堅牢な檻に閉じ込められ身動き出来ない彼女達の姿に、はがゆい思いが募る。

実在の事件をモチーフにした第二部で描かれる女性もまた『母』なる存在に囚われている一人だ。

血縁だけが全てじゃない。
母親を絶対正義と思う必要もない。

捨てたって良い、逃げる事は決して悪じゃない。

自分の人生は自分の物だ。




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