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残月記/小田 雅久仁【レビュー】

★★★

月をモチーフにした全三話はどの作品も不可思議で幻想的な中に狂気を孕んでいる。

読み始めてすぐ月の引力に導かれる様に物語世界に惹き込まれた。

第一話、うっかり境界線を踏み外したが最後、それまでの幸福な生活は一転。
積み上げて来た成功も霞の様に消え去り見知らぬ世界の住人になっている。
満月のいたずらと呼ぶには残酷過ぎる結末に震える。

続く二話では月景石を枕の下に入れて寝てしまったばかりに、文字通り悪夢を呼び寄せてしまう。
果たしてこれは夢か現実かその境目が分からなくなる恐怖に戦慄する。

表題作は大人のお伽話の様な読み心地。




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