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だれかの木琴/井上 荒野【レビュー】

★★★★

この物語の主人公、親海小夜子(およみさよこ)はマイホームへ引っ越し夫、光太郎、娘のかんなと3人で暮らしています。

一見し取り立てて不幸なわけでもなく、ごくごく普通な、どこにでもいそうな専業主婦です。

新しい土地で行った美容院MINTで山田海斗と言う青年に出会いヘアカットをして貰います。

その海斗からの営業メールであるお礼状に返信をする小夜子

それから徐々に海斗に対してのストーカー紛いの行動がエスカレートして行きます。

しかし読み進めて行くと小夜子は決して海斗にそれ程の愛情があるわけでもない。

特に大きな「何か」があるわけでもないけれど日常のほんの隙間に忍び込んだ異質な世界へ進んで行く小夜子に不気味な狂気を感じました。

不穏な空気感が絶えず流れている様なストーリーですが、もしかしたら1歩間違えば誰にでも起こりうる様な事なのかもと思えて来ます。

理性だけでは抑えられない人間の不可思議な感情が如実に表現された作品で怖い反面、興味深く読みました。




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