わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

さよなら、ニルヴァーナ/窪 美澄【レビュー】

★★

「水やりはいつも深夜だけど」がとても良かったので何の予備知識も持たず図書館で予約

いつも最初に目を通す参考文献を見て少し嫌な予感を持ちつつ読み始めました。
いつもなら1~2日で読み終える窪さんの作品ですが
この本に限ってはページが重たく感じられ1週間掛かりました。

読み始めてすぐに神戸連続児童殺傷事件を題材にしている事に気が付き何故このタイミングで?と疑問が湧きました。

神戸の事件をベースにしたあくまでもフィクションではあるけれど「少年A」が登場するたびに、どこか重ね合わせてしまう部分もあり読んでいて罪悪感すら感じてしまいました。

これだけの筆力を持つ著者であるならば全く架空の事件を題材にしてにストーリー展開出来たのではないかと思います。

被害者の母、少年Aに惹かれAを題材に小説を書く今日子、Aに恋する莢(さや)
それぞれの人物の心理描写も微細に丁寧に描かれているけれども実在の事件との共通点が多く、事件関係者や被害者遺族の方の目に触れた時の心情を想像すると辛くなります。

終章では今日子の思いがイコール著者の思いの様に感じられこの小説を書いた決意みたいな物を感じましたがやはりフィクションでありながら実際あった事件を彷彿とさせる展開は読後感が良い物ではありませんでした。




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