わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

全員悪人/村井 理子【レビュー】

★★★★

「この物語は事実に基づいて書かれています」
プロローグの前に記載されたこの一行が読んでいる間、頭から離れない。

認知症になった80代の女性の視点で書かれた本作は、当事者の不安と恐怖がダイレクトに伝わって来て様々な感情が押し寄せる。

中でも一番強く感じたのは悲しみ。

認知症を患った本人は勿論の事、彼女を支える家族や介護士、誰一人として悪い事をしていないのに病気が「全員悪人」と思わせる。

嫌な記憶が薄れて行くだけならどれ程良いか。
猜疑心が高まり愛していた家族をも憎む。

やり切れない思いになるが他人事ではない現実を感じた。




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