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希望のゆくえ/寺地 はるな【レビュー】

★★★★

今まで読んだ寺地作品とは一味も二味も違う印象を受けた。

主人公・柳瀬誠実は、放火犯の疑いがある女と失踪した弟の行方を追う為に彼と交流があった人物を訪ね歩く。

ミステリーの様相を呈しているが、実は親子、兄弟姉妹、恋人、様々な人間関係で生じる歪さや深層心理を抉っている。

弟の希望(のぞむ)について語る人々の印象がそれぞれ異なる様に人間誰しも多面性があって一概に決めつける事なんておこがましい事であり不可能だ。

比較される事で生じる嫉妬や恨み、近い関係だからこそ執着する登場人物達の思いに共感。

チリチリとした痛みを伴う作品。




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