★★★★
「刹那」
淡々と綴られた189頁の短い物語を読みながら何度もこの言葉が脳裏を過った。
詐欺の罪で入った刑務所で30歳を迎えた山田は、出所後に海の近くの塩辛工場で働き始める。
風景描写から私が生まれ育った富山県の情景が浮かび、更に刹那の思いが強くなる。
生に対して消極的、いや、死ぬ事に対して何の躊躇いもなさそうに思えた山田が住み始めた古びた木造アパート。
そこで出会った大家と住人達によって少しづつ心に変化が生じる。
生きる事に不器用な人達の繊細な心情や言葉の端々に胸が切なくなる。
要領が悪くても良い。
存在意義は必ずある。

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。