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はんぷくするもの/日上 秀之【レビュー】

★★

第55回文藝賞受賞作品。
120ページに満たない作品だが、そのページ数に反して重く陰鬱な作品だった。

舞台は岩手県沿岸の地・赤街のタタミ十畳ほどの仮設商店。
その場所で母と二人で暮らす30代独身の毅が主人公。

毅の唯一の友人は万引きした商品を持参してやって来る武田。
殆ど客も来ない店だが時折高齢の風峰さんが買い物を楽しみに訪れる為に店を畳む事も出来ない。

又いつまで経っても3413円のツケを返さず、のらりくらりする男、古木との攻防戦も延々と繰り広げられる。

被災後の倦怠感や惰性で日々を過ごす者達の姿に胸が苦しくなった。




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