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砂上/桜木 紫乃【レビュー】

★★★

最近欠かさず読んでいる桜木 紫乃さん

主人公は北海道・江別で生活する柊令央(ひいらぎ れお)
別れた夫から振り込まれる月5万の慰謝料と、友人の店で働いて得る数万円の月収で生活しています。
小説家を目指してはいるものの一向に目が出ず…
と言った地味な印象の40代の女性です。

そんな彼女が敏腕女性編集者、小川乙三(おがわ おとみ)との出会いで「砂上」と言うタイトルの小説を書上げて行くストーリーなのですが、その背景には令央の家族の秘密が描かれていて言うなれば柊令央自身の私小説に限りなく近いフィクションです。

小説の中で小説が題材となっている事、登場人物全てにクセがあり共感出来る人物がいない事、全体的に不穏な空気が流れている事で中編ながら中々ページが進みませんでした。

特に女性編集者、小川乙三の存在は編集者の枠を超える辛口キャラで、名セリフもありますが、自分が言われたら心が折れるであろう辛辣なセリフもいくつかあり辛かったです。

令央と小川乙三のやり取りから、物書きを生業にしている方達の苦労や苦悩を強く感じました。
ダークで地味、だけど深みがある1冊。




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