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2005年12月、長野県の東部に位置する御代田町(みよたまち)で起きた
「丸子実業高校バレーボール部員自殺事件」のルポタージュです。
はじめに~第一章~第九章・終章で構成され、巻末には事件の経過が記載されています。
重い内容ではありましたが図書館で借りて来たその日に一気読み出来る読みやすさでした。
少年・少女が自殺した場合、一般にすぐ「いじめによる自殺」と思われがちですが
本書では学校側VS母親の対立が非常に綿密に丁寧に描かれており
自殺した高山裕太君の死の真相に深く切り込んでいます。
校長を殺人罪で刑事告訴し、バレー部員によるイジメが原因だと訴える母親
文字通りのモンスターマザーであるに関わらずその母親を擁護する人権派弁護士
複数の人から話を聞けばこの母親の情緒不安定さ、人格障害である事はすぐさま予想が付くであろうに、弁護士への不信感は募る一方でした。
全て読み終わって感じた事は、真実を知る事と伝える事の難しさ
丸く収めようとして書いた文書や発した言葉が、後々、相手の良い様に利用されたり善意が悪意に取って変えられたり。
きっと誰もが裕太君の為を考えて行動しているはずなのに、どんどん歯車が狂って行く、そんな印象を受けました。
疑問だったのは酷い暴言を繰り返し、誰彼構わず攻撃するその根底には子供への愛情が存在するのかと思いきや
我が子への愛おしさや自殺後の悲しみが全く伝わって来ない事、同じ息子を持つ母として一番理解出来ない点でした。
この母親が裁判を起こしてまで得たかった物は一体何なのか?
母親に後悔や息子への懺悔と言う気持ちはないのか?
これ程まで誰かを攻撃する多大な時間があったならば、息子たちと楽しい時を過ごそうとは考えなかったのか?
理不尽過ぎる戦いで学校長始め、担任、バレー部の顧問、部員たち、事件の当事者達はどんなにか辛く長い日々だったかと思います。
実際、うちの子供が通っていた中学でもモンスターペアレンツは存在していましたし
本著に登場する母親とは比較になりませんがその攻撃性や虚言癖で保護者や教員は見抜いていただけに
今回の事件も早い段階で何とかならなかったのだろうかと裕太君の一生を思うと本当に無念でなりません。
どうか次男には無事に成長して欲しいと願わずにはいられません。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
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