★★★★
遠田劇場、狂い咲き。
父親と絶縁状態だった日本画家の竹井清秀に掛かって来た一本の電話。
駆け付けた先で目にしたのは父親の遺体と八歳で誘拐され十一年間監禁されていた全裸で震える少女。
読者の不快感など想定内だと言わんばかりに物語の衝撃度は更に加速する。
忌み嫌いながらも己の空洞を埋めるかの如く父の生き様をなぞる清秀。
芸術へ向かう迸る熱量と承認欲求、生への執着、あらゆる感情の渦が混然一体となって迫り来る。
淫靡で禍々しい描写に息苦しさを伴う一方で清秀の哀しみが伝染し胸が詰まる。
凄まじいまでの人間の業の深さに圧倒された。
はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
応募数92件 HN・よつば
松村 涼哉『僕が僕をやめる日』 第5回 レビュアー大賞 2020年 課題図書 – 読書メーター (bookmeter.com)
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
応募数599件 HN・よつば
辻村 深月『かがみの孤城』 第6回レビュアー大賞 2021年 課題図書 – 読書メーター (bookmeter.com)
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」
応募数748件 HN・よつば
伊坂 幸太郎『逆ソクラテス』 第7回レビュアー大賞 2023年 課題図書 – 読書メーター (bookmeter.com)
ブクログ BEST USER AWARD 2023 Silver賞 HN・よつば