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燕は戻ってこない/桐野 夏生【レビュー】

★★★★

頁を捲るたびに嫌悪感が高まり心に真っ黒な澱が沈殿していく様だった。

今回の桐野作品も容赦ない。
テーマは経済格差と代理母。

不妊治療の甲斐なく子を諦めた夫婦が次に選択したのは高額な対価を払って行う代理母という手段。
自分の遺伝子に拘る夫は代理母の卵子と子宮をお金で買い子を得ようとする。

「人助け」などと聞こえの良い言葉で斡旋する医療機関『プランテ』だが、そこにあるのはただの貧困ビジネスだ。

己の欲しか考えない登場人物に憤怒が湧き上がる。

生まれ来る子の未来に想いを馳せる事が出来ないエゴイズムな者達に親になる資格はない。




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