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母親病/森 美樹【レビュー】

★★★

「やわらかい棘」「砂の日々」「花園」「家族のきずな」
4話収録の連作短編集。

文中からは終始、陰鬱な空気が漂う。

絵に描いたような良妻賢母だった母の突然死。
死因も他殺か自殺か事故死なのかはっきりしない。

読み進むに連れ、ミステリー色が濃くなり、その死因が明らかになるのと比例する様に、タイトルの『母親病』が浮き彫りになって行く。

円満だったはずの両親の秘密には驚きを隠せない。
母親である前に一人の人間であり一人の女性である事を思い知らされる。
心の奥に潜む欠落をその性を貪る事で生を感じる。

完璧な母親なんてどこにもいない。




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