わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

百合中毒/井上 荒野【レビュー】

★★★★

人生色々、家族も色々とは思うものの、この小説で描かれる家族も例外ではない。

イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出ていった夫が25年ぶりに園芸店を営む自宅に戻る所から物語は始まる。

調子の良過ぎる夫に呆れ、反応が薄い妻に薄気味悪さを感じる。

そんな中、猫には猛毒な百合の花の中毒性が語られ、サスペンスフルな展開になるかと思いきや、妻と従業員との恋愛、同居する長女夫婦の謎めいた関係、次女と上司の不倫と、其々が抱える問題と心の揺らぎが不穏なタッチで描かれる。

曖昧模糊な家族の形態にリアルな人間臭さを感じた作品。




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