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私が誰かわかりますか/谷川 直子【レビュー】

★★★★

テーマは介護と看取り
キーワードとなるのは「長男の嫁」

再婚を機に東京から地方都市に移住した桃子を待っていたのは義理の父の介護
「長男の嫁」と言うだけで当然のごとく介護を押し付けられてしまいます。

義父を在宅介護する友人の恭子、育児と仕事と介護の三つ巴につぶされそうになる瞳、死んだ夫の両親に家政婦のように扱われている静子
この3人も「長男の嫁」

昔に比べれば少しは変化したのかも知れないけれど、本作に登場する村社会では介護=長男の嫁の義務と言う思想が根強く残っています。

私の周りには自分の親の介護でさえ一杯一杯になり苦しんでいる人もいるのに痴ほう症を患う義理の親の介護を嫁がするのが当然の事だと思われたら救いがありません。
そして感謝されるどころか、「当然」だと思う家族達。

義理の父の下の世話をする妻、心も身体もボロボロになるまで頑張っているのに、全く手助けしない夫やその兄弟姉妹達。
呆れて物も言えません。

世間の目を気にし、奮闘する桃子に感情移入しながら読み進めました。

良心や情をいくら持ってしても、介護は綺麗事だけでは済まされない。

日本が高齢化社会になっている今だからこそ、家族全員の協力、病院、介護施設、ヘルパー等、様々な面での丁寧で細やかな充実を1日も早く実現出来る様になって欲しいと切に願いました。




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