わたしは栞を挟まない|sayuriの読書ブログ

灯/乾 ルカ【レビュー】

★★★

装幀を上下に開くと、屋上らしき場所で灯りを見つめる女性の姿が。

誰とも関わりたくない、一人で生きていきたいと願う主人公・相内蒼の凛とした想いが伝わって来るようだ。

シングルマザーで起業家の母と二人で暮らす蒼だが、家庭に温かみは感じられない。
自分の信念を貫く為、娘より仕事を優先する母親の姿に終始疑問が拭えなかった。

母親の行動は一種のネグレクトに思え、孤独を愛する様になった蒼の背景を想像し、切なさで胸が詰まる。

友人・冬子と、野球部の米田虎太郎の存在がいい。

この年代ならではの苦味と気付きが詰まった瑞々しい青春小説。




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