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すきもの/花房 観音【レビュー】

★★★

まさに「令和版 阿部定」
冒頭の描写は阿部定事件そのもの。

主人公は、特別容姿に恵まれているわけではなく何処にでもいそうな平凡な女性。
ただ一点、性に関してだけは凄まじい執着を持つ。

第四章までは主人公を取り巻く人々の視点で描かれその構成が面白い。
モラルなどお構いなし、貪欲に性を貪る主人公を嫌悪しながらも皆、自分の性と比較し悶々とする姿に人間の本質を感じる。

何の計算もなしに生きて来た様な主人公だが自分視点で語る第五章を読めば、その強かさに慄く。

全編を通して描かれているのは性だが、嫌らしさより生き辛さを感じた作品。




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