わたしは栞を挟まない|よつばの読書ブログ

僕が僕をやめる日/松村 涼哉 【レビュー】

★★★★★

衝撃的な作品。
心を揺さぶられ続けた。

他人の名前を名乗りその人物の分身として生きる、この荒唐無稽なストーリーを軽んじているとその思いはたちまち覆される。

出生届未提出、たかが紙切れ1枚で「無戸籍児」となり運命を狂わされた子供達の苦しみはどれ程のものだろう。
親のエゴで最低限の生活すら送れない子らがいる。
その理不尽さと彼らの孤独に思いを馳せた時、自身の無知と無関心に罪悪感さえ抱いてしまう。

己の存在価値を求めるかの様に、魂の存在を繰り返し発する姿に哀しみが増す。

残酷さに満ちているがこれは紛れもなく愛と救済の物語だ。




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