★★★★★
衝撃的な作品。
心を揺さぶられ続けた。
他人の名前を名乗りその人物の分身として生きる、この荒唐無稽なストーリーを軽んじているとその思いはたちまち覆される。
出生届未提出、たかが紙切れ1枚で「無戸籍児」となり運命を狂わされた子供達の苦しみはどれ程のものだろう。
親のエゴで最低限の生活すら送れない子らがいる。
その理不尽さと彼らの孤独に思いを馳せた時、自身の無知と無関心に罪悪感さえ抱いてしまう。
己の存在価値を求めるかの様に、魂の存在を繰り返し発する姿に哀しみが増す。
残酷さに満ちているがこれは紛れもなく愛と救済の物語だ。

はじめまして。
255文字で本の感想を書いています。
選書の参考になれば嬉しいです。
☆受賞歴☆
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第5回 ベストレビュアー賞受賞 「僕が僕をやめる日」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第6回 優秀レビュアー賞受賞 「かがみの孤城」
読書メーター×ダ・ヴィンチ 第7回 ベストレビュアー賞受賞 「逆ソクラテス」