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タイガー理髪店心中/小暮 夕紀子【レビュー】

★★★

第4回 林芙美子文学賞受賞作「タイガー理髪店心中」に「残暑のゆくえ」を加えた2篇収録。

表題作はのどかな田舎町で暮らす、どこにでもいそうな老夫婦の話。

亡き父が残してくれた理髪店「タイガー」83歳の寅雄だが、未だ現役で店主として店を続け、妻の寧子と共に一見平和な暮らしを送る。

平々凡々な日常生活を送る中、少しづつ壊れて行く妻、それをどこか俯瞰的に見つめる夫、文中からは未必の殺意が感じられ静かな恐怖を感じる。

「残暑のゆくえ」は食堂を営む日出代とその夫の過去の秘密が、ほの暗さを纏いながら徐々に明かされ陰鬱な読後感。




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