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インフルエンス/近藤 史恵【レビュー】

★★★

近藤 史恵さんの長編小説
表紙も不穏ならば読み始めからずっと不穏な空気感で溢れていました。

大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨(ゆり)の親友だった里子、その身に起きた性的虐待から全てが始まって行きます。
友梨、里子、そこに真帆(まほ)が加わり、レイプ、DVと社会的問題提議しながら3人が殺人事件に手を染めてしまうスピード感のある展開に目が離せなくなってしまいます。

この全てのストーリーを小説家である語り手が、告白を聞いて行くと言った形式で、この小説家の存在そのものが最後のエピソードの鍵になっています。

最近良く使われる「ヒエラルキー」と言う言葉ですが、少女達を見ているとヒエラルキーに縛られ人に合わせ、身動き出来ず衝動のままに行動している、しなければいけない苦悩が伝わって来ます。

3人の誰にも共感は出来ないものの友達の在り方について考えさせられるイヤミス要素も兼ね備えた心理サスペンスです。

読後感は決して良くはないけれど様々な問題を孕んだ物語でインパクトが残る作品でした。

余談ですが99ページで真帆の事を好きではないと言っていた友梨の母親ですが
159ページでは「母は真帆のことが気にいっている」とあり矛盾を感じました。




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