わたしは栞を挟まない|sayuriの読書ブログ

日暮れのあと/小池 真理子【レビュー】

★★★★

「ミソサザイ」
「喪中の客」
「アネモネ」
「夜の庭」
「白い月」
「微笑み」
「日暮れのあと」
七話収録の短編集。

洗練された言葉で紡がれる七つの物語は、登場人物や風景が自然と眼前に浮かび上がる。

生と死と性が共通して描かれている本作だが、最も心に迫って来たのは深い孤独感。

時に淫靡で生々しさを醸し出しつつも、そこに厭らしさは感じられず、老いて死へ向かう者達の寂寥感や悲哀が伝わる。

ホラーテイストの『喪中の客』が一番インパクトが強く背筋が寒くなるが、どの短編も粒揃いで味わい深い。

この静謐でしっとりとした世界観が堪らなく好き。




  • 人気のレビュー
  • 関連するレビュー

気軽にコメントどうぞ

*
*
* (公開されません)