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水曜日の凱歌/乃南 アサ【レビュー】

★★★★★

全作読んでいる乃南アサさんの長編小説です。

プロローグ 「その日も水曜日」
第一章 「新しい防波堤」
第二章 「占領軍が来た日」
第三章 「大森海岸」
第四章 「クリスマス・プレゼント」
第五章 「お母さま」
第六章 「再会と、そして」
エピローグ 「また水曜日」
で構成されています。

主人公 二宮鈴子(にのみや すずこ)昭和6年生まれ 14歳
比較的裕福な家庭で過ごしていましたが戦争により
7人家族が鈴子と母の二人だけとなってしまいます。

その14歳の鈴子の目線で終戦間近、終戦直後の日本の女達の戦い、お母さまと呼ぶ「つたゑ」の変化、さまざまな階層の女性たちの姿をリアルに描いています。

物語には実在した人物もたくさん登場し、耳にした事はあってもその実情を良く理解していなかったRAA(特殊慰安施設協会)の存在が丁寧に描かれ、組織として経営されていた事に衝撃を受けました。

生きる為に逞しく働く母
その母のおかげでよそに比べたら良い暮らしをさせて貰っていると自覚しつつも思春期の鈴子から見た母は以前は敵性語と呼ばれていた英語を使った仕事をし、あれ程憎み鬼畜と呼んでいたアメリカ進駐軍の将校と付き合う嫌悪する存在でもあります。

元々は素直で優しい鈴子が母の変化によってどんどん卑屈になって行きますが空襲で右腕を失った幼馴染の勝子ちゃんと再会した時のやり取りは心が和みました。

戦争と言う特殊な状況の中で生きていかねばならない女性たちがストーリー全体を通して圧倒的なリアルで描かれています。

戦後70年となり徐々に戦争を語る人達が少なくなる中でたくさんの事を教えてくれる作品でした。
読み応えありの1冊です。




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