★★★★★
素晴らしかった。
娘を捨てた母と母を捨てた娘、其々の母娘の再生の物語。
皆、多くを望んでいるわけじゃない。
自分への揺るぎのない愛情を求めているだけなのに、一度狂った歯車は簡単に元に戻ってはくれない。
己に起きた不幸を全て自分を捨てた相手と境遇のせいにする事で、自身を保ち生きて来た登場人物達。
事実だけを見て真実を知らず、誤解し、すれ違い、歪んでいく母娘関係に歯がゆい思いが募る。
母親の呪縛に囚われたゆえの負の連鎖が哀しい。
人間の弱い部分をとことん描きながらも、その対極にある強さと優しさで心ごと掬い上げてくれる傑作。
※293頁8行目 誤「どうしてんなことを」 正「どうしてそんなことを」

幼少期から本が大好きなよつばと申します。私と同じく本が好きな方々の参考になれば幸いです。SNSもフォローしてくださると嬉しいです。