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二人の誘拐者/翔田 寛【レビュー】

★★★

誘拐ミステリと言えば翔田さん。
本作も最後まで目が離せなかった。

平成25年、12歳の正岡聡子ちゃんが誘拐され身代金1千万円を奪われる。
10年の時を経て見つかった少女の白骨死体。
迷宮入りしていた事件が再び動き出す。

誘拐事件に臓器移植を絡めた本作は社会派ミステリとしても読み応え十分。

理性的で志の高い人達が、ふとした瞬間、己の欲に心を動かされ悪の渦に飲み込まれていく姿に人間の愚かさを感じずにはいられない。

誰かを犠牲にした上で成り立つ幸福など価値はない。

バラバラだった全てのピースが埋まった瞬間、哀しみが押し寄せた。




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