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山ぎは少し明かりて/辻堂 ゆめ【レビュー】

★★★

もし自分の故郷がダム建設計画で湖の底に沈んでしまったら、私は何を考え、どんな気持ちになるだろう。
そんな事を思いながら読み進めた。

物語は瑞ノ瀬村で暮らす佳代と佳代の娘・雅枝、孫の都、三世代の視点で描かれる。

故郷を愛し守ろうとする佳代の思いとは裏腹に、瑞ノ瀬村になんの思い入れもない娘。
親子であってもすれ違う心。
切なくて胸が締め付けられる。

清少納言の枕草子、春はあけぼのから始まる和歌の一節「山ぎは少し明りて」のタイトルがより一層切なさを増す。

奇しくも令和6年能登半島地震と読むタイミングが重なり哀しい余韻が残る。




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