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ガラスの海を渡る舟/寺地 はるな【レビュー】

★★★★

読み進むに連れ心が凪いでいく。

発達障害の症状を持つ兄と承認欲求が高い妹。
犬猿の仲とも思える兄妹が祖父亡き後、二人でガラス工房を引き継ぐ事になる。

幼い頃から母親の関心が兄に向けられた事で、鬱屈した感情を持ち辛辣な言葉を投げる妹。
そして妹の激しい感情の波を全く理解出来ない兄。

そんな二人が様々な出来事を経験する中で、互いの存在を認め合い徐々に近づく距離感に、ヒリついた気持ちは解れ心が柔らかくなっていく。

人の心は繊細でガラスの様に脆く壊れてしまう事もあるけれど再生は可能だと信じたい。

人や人生を愛おしく思える読後。




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